TOP > 研究活動 > 研究者総覧「情報知」 > メディア科学専攻 > 音声映像科学講座 > 松本 哲也

研究者総覧「情報知」

メディア科学専攻

氏 名
松本 哲也(まつもと てつや)
講座等
音声映像科学講座
職 名
助教
学 位
博士(工学)
研究分野
ニューラルネット / 画像処理 / パターン認識

研究内容

柔軟なマルチメディア情報処理システムの構築
■研究の概要■
統計的学習手法・ニューラルネット等を用いて、画像等のマルチメディアデータの認識・理解を行う情報システムに関する研究を行っている。システムの利用者はそれぞれ異なった嗜好・目的を有し、各自の流儀で情報システムを利用しようとする。これら利用者側の多様性を、システムの学習能力で如何にして吸収し、個々の目的に対応していくか? 人間であるユーザの多様性に対応可能な、柔軟な学習システムを構築することが目的である。
■研究テーマ■
(1) 任意画像を対象とした類似画像検索システムの構築
記憶媒体の大容量化、情報の電子化・オンライン化に伴い、マルチメディアデータをコンピュータ内に多量に蓄積・操作することが一般化している。しかし、適切な構造化を施しておかないと、必要なデータが存在するにも関わらず、それらを見つける事が出来ないと言う皮肉な事態が発生する。本研究では、任意画像から成る画像集合に対し、事前知識を利用せずに、画像集合を適切に構造化する変換空間(特徴空間)を自動生成する手法を開発するものである。
画像から得られた特徴ベクトルを基に画像集合に構造を与える場合、主成分分析等の線形手法や、自己組織化マップ等の学習による情報圧縮手法が一般に利用されている。これらは、与えられた特徴ベクトル全体から、より低次元の本質的次元で表現された構造を与えるものであるが、利用者の目的にとっては、必ずしも画像集合全体を均等に表現する必要はなく、むしろ有る特定の領域に興味が集中し、この部分を詳細に表現したい場合が大部分であろう。本研究は、教師なしサンプルによる自己組織的特徴空間の獲得と利用者からの教示による教師付き学習とを組み合わせ、各個人の目的・嗜好に合致したデータ表現方法(特徴空間獲得)を実現する。
(2) E-Learning環境における学習者モデルの統計的構築
近年、パーソナルコンピュータとブロードバンドの爆発的普及に伴い、WEB型E-learningが急速に広まりつつある。更に近い将来、ユビキタス情報処理環境の実現に伴って、WEB型E-learningが教育の一形態として重要な役割を演じることは確実であると思われる。
現在、E-learningの持つ効率性・学習における自由度等に主要な関心が向けられているが、その画一性は将来大きな問題となるであろう。通常の教育においては、個々の学習者の個別性に対して、教育者が細かく対応する事により教育が成り立っており、それが同時に教育者への大きな負担となっている。WEB型E-learningによる教育は、膨大な人数を対象とした教育を可能にする反面、各学習者への細かな対応を不可能にしてしまう。
本研究では、個々の学習者(単位学習者)の固有性に対応するために、各学習者個別の学習者モデルを構築し、学習状態の推定を行う。さらに、これに基づく教育支援を実現することにより、より教育効果の高いWEB型E-learningシステムを構築する事を目的としている。
■今後の展開■
現在は画像の認識・理解を中心とした知的学習システムに関する研究を中心として、研究を進めている。これらの研究を通じて、システムの利用対象であるユーザ=人間の反応に対する適応をも含めた広義の推定・学習システムの構築が重要な問題と成ってきた。将来的には、人間の不確実な反応・個性・情動を推定・学習可能な適応的システムを構築していくことを目的としている。
類似画像検索システムの構成

類似画像検索システムの構成

経歴

  • 1993年 名古屋大学大学院工学研究科情報工学専攻後期課程修了
  • 1993年 同大学情報処理教育センター助手
  • 1998年 同大学大学院工学研究科情報工学専攻助手。2003年 同大学大学院情報科学研究科メディア科学専攻助手、現在に至る

所属学会

  • 電子情報通信学会
  • 日本神経回路学会
  • 人工知能学会

主要論文・著書

  1. 同一画像内における部分複写の検出-回転角と反転の推定精度の向上-, 電気学会論文誌C, 131(12), 2121-2122 (2011).
  2. Multi-objective genetic programming with redundancy-regulations for automatic construction of image feature extractors, IEICE Transactions on Information and Systems, E93-D (9), 2614-2625 (2010).
  3. Evaluations of Feature Extraction Programs Synthesized by Redundancy-removed Linear GP: A Case Study on Lawn Weed Detection Problem, Journal of Information Processing, 18 (4), 164-174, (2010).