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研究者総覧「情報知」

情報システム学専攻

氏 名
宮尾 克(みやお まさる)
講座等
情報プラットフォーム論
職 名
教授
学 位
医学博士
研究分野
人間工学 / ユーザビリティ / バーチャルリアリティ / 公衆衛生学 / 災害情報学
宮尾 克

研究内容

人間中心指向のモバイル・ネットワーク技術
■研究の概要■

外国人向けの多言語公共情報がきわめて不十分な現状で、防災情報などについて、あらかじめテンプレート定型文を設定し、多言語(日本語、英語、ポルトガル語、ハングル、中国語など)に自動翻訳し、情報配信するシステム開発を行っている。気象庁発表の気象・防災情報の自動翻訳を開発している。立体映像と人間の視覚に関する研究として、仮想現実像を注視している状態での水晶体調節を測定している。立体映像のリアリティを向上させ、人の目に与える影響を緩和する上で重要である。厚生労働省のVDT作業ガイドラインの策定にかかわり、労働安全衛生マネジメントシステムの検討会委員を務め、労働安全衛生の啓蒙・普及に尽力している。

■研究テーマ■

(1) 多言語防災情報システムの開発

わが国における外国人登録者数は増加しつつあるが、外国人向けの多言語公共情報はきわめて不十分である。そこで、防災対策、被災地における情報、救急医療をはじめとする医療情報、適切な医療機関の案内について、あらかじめテンプレート定型文を設定し、これを多言語自動翻訳し、情報配信するシステム開発を行っている。種々の公共情報をテンプレートとして收集し、テンプレートの中の5W1H(いつ、だれが、何を、何のために、どのように)を適切に特定することで、多言語に自動翻訳される。使用言語は日本語、英語、ポルトガル語、ハングル、中国語などである。場所や日時、内容などが入力されたテンプレート定型文は、自動的に多言語に翻訳される。気象・防災情報の気象庁発表を直ちに、自動翻訳するよう開発中である。携帯電話のフォントにない言語は、文字を画像に変換して、文字画像メールとして配信できるように、メールの送り方と視認性の研究もしている。

(2) 立体映像の自然な見え方の研究

立体映像と人間の視覚に関する研究を行っている。現実像の自然視では、両眼の輻輳と水晶体調節の焦点は一致するが、両眼視差を利用した仮想現実の立体映像表示システムでは、輻輳によって期待される立体像の位置と焦点調節が一致するとは限らない。仮想現実像を注視している状態での水晶体調節を調べることは、立体映像のリアリティを向上させ、仮想現実像が人の目に与える影響についての知見を得る上で重要である。そこで、両眼視による自然視条件下で、3Dディスプレー上に表示される立体映像を注視している状態の片目の水晶体調節をリアルタイムで測定した。3Dディスプレー上の立体映像を注視している間、視標の動きに追従して遠方および近方に焦点調節が起こる。この結果から、3Dディスプレー上での仮想現実画像の遠近運動によって、目の毛様体筋・毛様体小帯の緊張を和らげ眼精疲労を回復する効果が期待できる。

(3) ケータイ電話などモバイル機器のユーザビリティ

子どもから高齢者までなかば必須の道具となったケータイの使用性について、メールの文字の可読性を中心に、実験研究を行っている。また、ハングルなどの文字画像メールに関する研究も行っている。
文字画像メール(JPEG画像の文字をメールに添付して送る)を用いると、ケータイの機種に依存せずに文章を送受信でき、ケータイのフォントにはない多言語での情報提供システムに利用できる。しかし、ケータイ画像メールでは、いちどに送受信できるデータサイズに制限があるため、文字数が制約される。ケータイ画像メールによる画像文字の大きさと視認性の関係、ケータイ機種の画質の効果、被験者の年齢などの要因と視認性との関係を研究している。
名古屋大学災害対策室のサイトで多言語防災情報翻訳システムを公開している。テンプレート翻訳システムを用いて、間違いがなく、各国の文化的差異・理解レベルを考慮してわかりやすく翻訳される。(http://tagengo.seis.nagoya-u.ac.jp/

文字画像メールによる多言語防災情報のケータイ発信

文字画像メールによる多言語防災情報のケータイ発信

経歴

  • 1977年名古屋大学医学部医学科卒業。医師免許取得。
  • 1982年同大学院医学研究科博士課程修了。医学博士。同大学医学部助手・講師・助教授を経て
  • 1996年同大学院多元数理科学研究科教授。
  • 2002年同大学情報連携基盤センター教授、現在に至る。2003年同大学院情報科学研究科教授併任、現在に至る。

所属学会

  • 日本人間工学会
  • 日本産業衛生学会
  • バーチャルリアリティ学会、災害情報学会、社会医学会、医療情報学会

主要論文・著書

  1. Multilingual Disaster Information System, AI & Society 2005 (online version ; 10.1007/s00146-005-0316-7).
  2. 地震災害における外国人の被害と災害情報提供,社会医学研究,第22号,2005,21-28.
  3. Visibility and Characteristics of the Mobile Phones for Elderly People. Behav Info Technol, 2002, 21, 313-316.