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研究者総覧「情報知」

社会システム情報学専攻

氏 名
茂登山 清文(もとやま きよふみ)
講座等
電子社会設計論講座
職 名
教授
学 位
工学修士
研究分野
情報デザイン / メディアとアート / ヴィジュアルリテラシー

研究内容

電子社会におけるヴィジュアルコミュニケーション
1. 研究の概要
インターネットや携帯電話、デジタル放送などの電子的なメディアの発達によって成立する社会の設計を大きなテーマとしているMedia & Design Groupのメンバーとして、デザインやアートなどの視覚文化をフィールドに、ヴィジュアルコミュニケーションの視点から研究をおこなっている。情報を的確に収集、整理し、発信することが、コミュニケーションが円滑に行われるための基本であり、デザインとは、それにふさわしい形を与えることを指す。しかしこうした平板な伝達作用では、しばしば豊かさや深さといった魅力的な要素が欠落することがある。電子ネットワーク社会において、とりわけ電子メディアを使ったコミュニケーションにおいて、そのようなある種人間的な表現とはなんなのか、それはいかにして可能なのか、について考察し、開発をすすめるのが、研究の基本的な立場である。
2. 研究テーマ
(1) 情報デザイン、デスクトップインターフェイスの開発と研究
ウェブやケータイなど、今日では「みんながデザイナー」となりうる。そこで必要とされるのは、受信者側の使いにくさを低減するという、ユーザビリティの考えである。またそれに加え、ユーザの体験(ユーザ・エクスペリエンス)も重要な問題となりつつある。実世界での体験を参照しつつ、ウェブブラウズやデスクトップ操作での体験性を高めることを目的に、インターフェイスのシステム開発・研究をおこなっている。
(2) メディアとアート・視覚性の研究
電子社会における視覚性の成り立ちと在りようについて、研究している。その際に、アーティストたちが提示したメディアをめぐる問題群は、多くの示唆に富んでいる。それらは、メディアへの批評性を含んでおり、それを更新する、もうひとつの存在でもある。同様に、今日のコンピュータ環境の基礎を築いてきたエンジニアたちの、その後の主流とはならなかったアイデアにも着目し、視覚情報とコンピュータインターフェイス、GUIとの関係を考察している。
(3) ヴィジュアルリテラシーについての考察と、その獲得のための支援システムの開発
現代社会では、情報のかなりの部分は、視覚を通して獲得される。他方で、テクノ画像は容易に複製・操作可能であるがゆえ、見えるものがそのまま事実であるとは限らないという状況も日常化している。見ること、見て理解するとはどのようなことなのか。具体的な対象に即して考察している。
コンテンポラリーアートは、造形を通して、見る者に多様なレベルで問いかける。したがって作品を見ることは、リテラシー獲得のための意義ある場であると考えられる。それを支援し、場の意義を高めるために、情報機器を使用した作品鑑賞補助、感想共有システム開発をおこなっている。
3. 今後の展開
基本的には、上記の研究テーマの深化をはかっていく。また、総合大学において映像・芸術教育はどのような意味を持つのか、またそれはどのようにして可能か、といった問題について研究を進めていきたい。さらにそれに関連して、名古屋大学におけるデザイン・アートを中心とした資源について調査し、その活用を考えていく予定である。
 
ディスクトップにおけるアンビエントな情報提供

ディスクトップにおけるアンビエントな情報提供

経歴

  • 1983年京都大学大学院工学研究科建築学専攻博士後期課程満期退学。
  • 1984年名古屋芸術大学美術学部講師。
  • 1991年同大学助教授。1998年名古屋大学大学院人間情報学研究科助教授。2002年同大学大学院情報科学研究科助教授。現在に至る。

所属学会

  • 日本映像学会
  • 日本図学会
  • 意匠学会
  • 情報文化学会
  • 日本建築学会
  • 情報処理学会
  • ISEA

主要論文・著書

  1. Viewing Contemporary Art Works : Alternative Education of Visual Literacy, China Engineering Graphics Society/Japan Society for Graphics Science, 2003.
  2. Communication in Media Art - Installation of Techno Images, Society of Photographic Education of Chinese, 2002.
  3. メディア社会における視線に関する考察 ―ウォーホルの《マリリン》における眼差しの「不連続」,情報文化学会誌第7巻第2号,2001.